大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)110号 判決

事実及び理由

一  請求原因一ないし三の事実は、当事者間に争いがない。そこで、原告主張の審決取消事由の存否について判断する。

二  成立に争いのない甲第四号証(本件考案の実用新案公報)によれば、本件考案は、電球のリード線とコードとを端子板を介して電気的に接続するクリスマス用小型装飾電灯の改良に関するものであり、端子板の一側縁から切欠き部12aを斜め下に向けて切り下げて形成したことは、切欠き部12aに引掛けられ捩じられて端子板に接続された裸線は、これを捩じるときに切欠き部12aの最下部に収まるので、裸線の切欠き部内での移動が完全に阻止され、接続不良はもちろんのこと端子板からの分離も防止される等の作用効果を奏するものであることが認められる。

(審決取消事由1について)

成立に争いのない甲第三号証によれば、第二引用例は、「公知デザイン公示」と題し、本件考案の実用新案登録出願前に日本国内において、装飾用電灯セツトに関するデザインを公示したものであることが認められる。しかして、そのデザインは、装飾用電灯セツトの外形にかかるものであることが明らかであり、本来は、その内部構造までをも示したものではないが、前掲甲第三号証によれば、第二引用例の写真には、装飾用電灯のソケツト体部分に、長方形の一側縁から斜め下に、その切口が角部を形成するように切欠かれた形状が白く写し出されていることが認められる。一般に、この種の小型装飾電灯のソケツト体内面に端子板が装着されていることは周知であり(成立に争いのない甲第二号証により明らかである。)、また、この種の小型装飾電灯において、端子板と対峙するソケツト体の肉厚は比較的薄いものであり、そのような条件のもとでは、例えば、被告主張のとおりの写真であることについて争いのない乙第五号証及び同号証の小型装飾電灯であることに争いのない検乙第一号に徴しても明らかなように、撮影時の照明により、十分透明でないソケツト体であつても、肉厚の薄いソケツト体を通して内部の端子板が写し出されうることを考え併せると、当業者が第二引用例の写真で見た場合には、この写真に示されている前記の白い形状は、ソケツト体内面に装着された端子板が写し出されたものであると推認できるということができる。そうであれば、当業者は、前記写真に示された端子板の形状からみて、この端子板は、一側縁から斜め下に切り下げられ、その切口を角部に形成した切欠き部を備えたものであり、この切欠き部を利用して端子板とコードの裸線とが接続されるものであると認識しうるものとみるのが相当である。原告主張のとおりの写真であるに争いのない甲第五号証の一ないし七は、内部に端子板を装着した透明なソケツト体を有する小型装飾電灯などを撮影した写真であつて、ソケツト体内部の端子板は写し出されていないが、これだけの資料により、すべての小型装飾電灯について、肉厚の薄いソケツト体を通して内部の端子板が写し出されることはないと、一概に断ずることはできず、前記判断を左右するに足りるものではない。また、成立に争いのない甲第六号証の一ないし四七も前記判断を左右するに足りる資料とはしがたい。

したがつて、審決のした第二引用例の記載内容の認定に誤りはない。

(審決取消事由2について)

前述のとおり、第二引用例には、一側縁から斜め下に切り下げられ、その切口を角部に形成した切欠き部を備え、該切欠き部を利用してコードの裸線を接続した装飾電灯の端子板が記載されているので、本件考案と第一引用例のものとの相違点は、第二引用例のものにより、当業者が必要に応じて随意に行なえる単なる端子板の置換に過ぎないものであつて、格別工夫を要するものではない。

この点に関する審決の判断に誤りはない。

三  よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却することとする。

〔編註〕本件考案の要旨は左のとおりである。

中空角筒部9の対向内面に全体の平面形状をH字状にして凹溝10・11が形成され、かつ、その底部にコード14・15を通すための導孔16・16が設けられたソケツト体8と、一側縁から斜め下に切り下げられ、その切口を角部12bに形成した切欠き部12aを備え、該切欠き部を利用して前記コード14・15の裸線14a・15aを接続し、前記ソケツト体8の凹溝10・11内に嵌入される端子板12・13と、導線2・2を孔7・7に挿通して小電球1の下底部3を装着し、上記導線2・2を角筒6の外側面上に沿わせて折り曲げ、該導線2・2を前記端子板12・13に触れさせて角筒6をソケツト体8の中空角筒部9に嵌挿して用いられる小電球支持部材5とからなることを特徴とするクリスマス用小型装飾電灯。

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